様式と転成

Words without thoughts never to heaven go.

エッセー

港の突端で輻輳する美を御する愉しみ

傲慢な意志を唯一癒し赦すものがこの世の美しさなのかも知れなかった。海と空の圧倒的で純粋なイメージを前にすれば苦情の一つも浮かぶことがない。そこは恐らく彼にとって安息地だったのだろう。海と空だけは、気を張ることも余計な言葉を考え付くこともな…

みすぼらしく砕かれた華がどうしても不憫だったから

photo by niznoz いわゆる近代藝術について考えるとき、それは総じて何を志向していたのだろうかといえば、それはきっとanonymity「無名性」ではないかと思った。不確実で不明確、希釈されかつ濃密なものへと変体しながら、奥の院に眠る美を探し求めたのが近…

うつくしい花がなくても構わない、ただ花のうつくしさを感じることさえできるなら。

ベートーヴェンって色彩的には「黒」のうつくしさに近い。それも黒漆のような耀きを伴った高級で幾らか鋭く冷たいイメージが去来する。— アオイ (@sirius_class) December 13, 2015 ベートーヴェンは「黒」のイメージと言って伝わるものなのかどうか知らない…

つめたい冬の珈琲店にて恨みたくなるほど美しい瞬間に陥った

photo by biogi 序 紳士っぽく紅茶もよいが、いつも通りの、とはいっても連休で幾らか混雑した珈琲店でトラジャを注文。あれこれと考え事をし、脳が行き詰まればカウンターの動きを眺め、そうこうしている内にカップは空になってしまう。おもむろにモディア…

銀座のとある喫茶店でマンデリンを味わいながら考えた

photo by Garret Voight 情感ある小雨の夕方。銀座一丁目の喫茶店でとあるドイツ文学を読み終えて、ふとレトロってなんだろうと考えた。真空管アンプもあるようで、なんとも確かに「レトロ」という言葉が零れてくる店だったが、さてレトロとは何だと振り返る…