Project KALAVINKA

日常に眠っている「美」を千切り取ってゆく

クラシック

印象を呼び起こさないメロディーに感情だけが曳航されていく

photo by Andy Magee ピッツィカートは河の流れを想起させる。バイオリンのすっとした清流が辺りを渓谷に変える。せせらぎが聴こえてくるような、あるいはその逆の現象。芸術と自然が交錯する。芸術は自然を模倣し、自然は芸術を模倣し続ける。芸術が比喩的…

カンブルラン指揮読響:マーラー交響曲第7番「夜の歌」@東京芸術劇場

photo by En Why かぐわしい春の陽気に照らされて自然が息づきだすような日だった。みなみ風が春の近いことを告げていくこの日に、マーラーの7番を聴くことができるのは何たる運命だろうかと思った。巨大な交響曲群を後世に残した大作曲家のシンフォニーの中…

チョン・ミョンフン指揮東フィル:マーラー交響曲第1番「巨人」@サントリーホール

photo by neonzu1 マーラーの実演の帰りはいつも何となく蟠りのようなものに付き纏われていることばかりだが、今回は違った。純粋に感動し、最後の最後まで座席から拍手を送っていた。「Music is Might」という言葉があるが、今宵ほどこの言葉が身に沁みたこ…

大植英次&東フィル:ブラームス交響曲第3, 4番@Bunkamuraオーチャードホール

photo by kaniths ひさしぶりに並んで当日券を買った。大学生のころがいくらか懐かしいなと思いつつ、開場までのしばらくの間を松濤一丁目の珈琲店で休憩を挟んだ。陽光の気持ちいいうつくしい午後である。さてと、座席はコントラバス隊と向かい合う3階桟敷…

ザンデルリンク指揮ドレスデン・フィル:ブラームス交響曲第1番@所沢ミューズアークホール

photo by nemodoteles 雨に変わるかそうでないか何ともいえないぐずついた空模様だった。ベートーヴェンとブラームスという大層ドイツ的なプログラムを聴きに行く。どうやら私は去年の7月にもブラームスを聴いている。そのときは読響によるブラームスの1番だ…

ボルトン指揮モーツァルテウム管弦楽団:モーツァルト交響曲第41番『ジュピター』@ミューザ川崎シンフォニーホール

photo by AudreyR. 5月末とは思えないじりじりと照りつける陽射しを浴びながら、ミューザ川崎へ向かう。モーツァルトの生誕地、ザルツブルクにて活動しているモーツァルテウム管弦楽団で聴くモーツァルト。ある意味ウィーンフィルのそれよりも魅力的でさえあ…

ベルトラン・ド・ビリー指揮都響:デュティユー交響曲第2番@東京文化会館

photo by Camil Tulcan 夏のように暑い日差しの落ちてくる日だった。からりとした大気にはどことなく懐かしさを覚える。もうカフェに入るとひたすらアイスコーヒーを頼むようになってきた。上野駅近くの上島珈琲店にてしばらく時間をつぶしてから、東京文化…

ティーレマン指揮シュターツカペレ・ドレスデン:ブルックナー交響曲第9番@サントリーホール

photo by wecand ブルックナーのコンサートに人気がないのはいつものことだ。ティーレマンとシュターツカペレ・ドレスデンほどの布陣でもチケットに残りが出てしまう。そのなかでも特に今回のような9番となれば、最硬派と言ってもよいだろう。ある意味で、か…

パーヴォ・ヤルヴィ指揮N響:マーラー交響曲第1番「巨人」@NHKホール

photo by Oli4.D 二週間前の土曜日はたしか雨だったと思う。N響の来シーズンより主席指揮者に就任することになっているパーヴォ・ヤルヴィの指揮でマーラーを聴いて来た。当日購入したチケットにしては二階の比較的望ましい位置に座った。けれども、その音楽…

大野和士&都響:フランツ・シュミット交響曲第4番@サントリーホール

photo by MaximeF つめたい風が吹き荒ぶ十二月、六本木でモダニズム冴える楽曲を聴く。西洋音楽史に於いておよそ一世紀近く栄えつづけたロマン派の潮流が爛熟を迎えていた頃、20世紀始めの混沌としたヨーロッパに生まれた二人の作曲家、バルトークとシュミッ…

メータ指揮イスラエル・フィル:マーラー交響曲第5番@NHKホール

photo by Neta Bartal 音楽は、如何にして芸術となるか。西欧言語ではアートやクンストと呼ばれる芸術という言葉の本質的な意味合いは「人工」ということだと言う。たしかに、音響芸術が人によって創られることは疑いようがないが、人びとが音楽に感じる意識…

ゲルギエフ指揮マリインスキー歌劇場管:チャイコフスキー交響曲第6番『悲愴』@所沢ミューズアークホール

photo by Zemzina ゲルギエフがマリインスキー歌劇場を指揮するようになって、すでに四半世紀が経過している。前身のキーロフ歌劇場の頃から蜜月時代を続けてきた、世界的にも大変希少なコンビネーション。秋にしては幾らか寒い風の吹く日の午後、コンサート…

ウルバンスキ指揮東響:ショスタコーヴィチ交響曲第7番『レニングラード』@ミューザ川崎シンフォニーホール

photo by Magdalena Roeseler ポーランドの新進気鋭、ウルバンスキの指揮を聴く。ミューザ川崎と言えば私の中ではスダーン&東響のコンビネーションが懐かしい。そぞろに吹き荒ぶ秋の午後、かつての栄光を越えて、新風の香りを味わいに東海道線に揺られる。…

コルネリウス指揮読響:R.シュトラウス『アルプス交響曲』@東京芸術劇場

photo by gaheilon 詩にあるいくつかの機能として、歌と語りの二つを挙げた詩人がいる。語りというのはいわば説明であり注釈であり説得であり、分析的と言える。一方で歌というのはいわば伝達であり送信であり声明であり、直情的と言える。この二つのパート…

ヘンヒェン指揮読響:ブラームス交響曲第1番@サントリーホール

photo by tigion 鬱々とした暗い空に気持ちの萎える日。夕方まで近所のカフェで読書に耽る。陽の未だ沈み切らない内に小説を閉じて、六本木一丁目に向かう。ここ二カ月くらいの間、仕事が立て込んでいたせいか、コンサートに行く機会を失うことばかりだった…

ヤノフスキ指揮N響:ブルックナー交響曲第5番@NHKホール

photo by Anna1975 陽光の渡る四月の日曜日、葉桜が飾る河川敷で華やぐ人びと。そうした暖かな空気を感じつつ、私は随分と様相の異なる楽曲を聴きに来た。…と書き出すと何やらのどかな印象を与えるかも知れないが、それは実際とはかけ離れている。私はコンサ…

スダーン指揮東響:モーツァルト交響曲第41番『ジュピター』@ミューザ川崎シンフォニーホール

photo by downhilldom1984 ミューザ川崎で、スダーンと東響の創り出す妙なる合奏に聴き入るのもこれが最後になるだろか。あア、さみしい。でも、さみしいからこそ、このコンサートは深い想い出となってわたしの中に確かに降り積もることだろう。そのためにも…

山田和樹&読響:R.シュトラウス『英雄の生涯』@東京芸術劇場

photo by Thomas R. Stegelmann 霧につつまれる情緒溢るる夕方、西池袋の東京芸術劇場へ向かう。あア、最後にオーケストラを聴いたのはいつだろか。もう何か月もご無沙汰していただろうと思う。今宵、読響の奏でるベートーヴェンとシュトラウスの音楽につつ…

ネルソンス指揮バーミンガム市響:ドヴォルザーク交響曲第9番『新世界』@オペラシティホール

photo by Clément Belleudy オペラシティに行くとなると、京王新線を使うことになる。わたしの場合、新宿駅でJRから乗り換えることになるので、随分グルグルと移動する破目になる。いつも、何でもう少し行きやすいところにないのだろうと惜しんでいるが、そ…

スダーン指揮東響:ブルックナー交響曲第4番『ロマンティック』@ミューザ川崎シンフォニーホール

photo by Stephen A. Wolfe ミューザ川崎へ、東響&スダーンの奏でるブルックナーの『ロマンティック』を聴きに行く。それだけでもなく、レイ・チェンによるシベリウスのヴァイオリン協奏曲がプログラムに並ぶ。どちらもわたしがひときわ愛する曲である。十…

ノリントン指揮N響:モーツァルト交響曲第38番『プラハ』@Bunkamuraオーチャードホール

朝のひかりの様な、瑞々しくうつくしいコンサートだった。こころ躍る愉しさ、この感覚を与えてくれた彼らに感謝したい。二日つづけてのコンサートとなったが行って本当に好かった。 ブルックナーの六番を聴いて、つめたい風の吹く朝を迎えた。そのときは未だ…

下野竜也&新日フィル:ブルックナー交響曲第6番@すみだトリフォニーホール

ひさしぶりにコンサートを愉しむ日曜の午後。嵐が迫っているらしく、何やら空は聊か忙しそうにしていたが、わたしは鳥の気持ちも知らないでのほほんとその時を待っていた。 総武線、錦糸町。ここに最後に来たのはいつだったか、はっきりとは思い出せない。そ…

ハイティンク指揮ロンドン響:ブルックナー交響曲第9番@みなとみらいホール

於:みなとみらい、ハイティンク&ロンドン響、ブルックナー第九交響曲。限りなく荘重な第一楽章、天の門を突き破らんばかりの豪壮な第二楽章、そして神へ捧げるかのような最後の唄。あア、交響楽そのものが恰も「神よ、聴こえるか。」と問い続けているかの…

ヤンソンス指揮バイエルン放送響:ベートーヴェン交響曲第3番『英雄』@サントリーホール

霜月最後の月曜日。つめたい雨に濡れる夜六時。 少し早く着いてしまったので、窓口でチケットを発券して貰ってから近くのカフェでひと息つく。バイエルンとヤンソンスによるベートーヴェン・ツィクルス。想像を巡らせるとにわかに心が躍り始めた。 純正硬質…

ゲルギエフ指揮マリインスキー歌劇場管:ベルリオーズ『幻想交響曲』@所沢ミューズアークホール

秋になるとオーケストラを聴きたくなる。沢山の一流オーケストラが世界中から来日する中、はじめに撰んだのがゲルギエフとマリインスキーのコンビネーション。 札幌と所沢で予定されていた「グリーグ:ホルベルグ組曲、ブラームス:交響曲第2番、ベルリオー…