様式と転成

Words without thoughts never to heaven go.

人文学

パトリック・モディアノ『迷子たちの街』(平中悠一:訳)作品社

photo by Amelien (Fr) モディアノの小説としてはこれで4つ読んだことになる。毎回のようにいいなと思う。解析すればそれこそ豊饒な要素がいくつもあるのだろう。けれどわたしは、そういう理解とは縁をすっぱりと切って読むことにした。そういう知力はもう後…

森博嗣『イデアの影』中央公論新社

photo by Hindrik S 氏の小説は知と美のバランスがすばらしい。哲学的でありつつそれに偏向しすぎることなく、サテン生地のような綺麗なものを志向する姿勢を決して失うことがない。今回の小説も、うわさになっているくらいだが装丁が信じられないくらい美し…

パトリック・モディアノ『廃墟に咲く花』(根岸純:訳)キノブックス

photo by Dusty J 何かを探し訪ねること、されど何一つ分からないで終わること。日常に潜む不可知性とそれに伴う空虚感、こうしたものを愛そうとするモディアノの哲学がフランス的でとても好きだ。仏文らしく「時」をさかのぼることもしばしばで回想と縁が切…

パトリック・モディアノ『嫌なことは後まわし』(根岸純:訳)キノブックス

photo by Thomas Claveirole モディアノの『失われた時のカフェで』を読了してから三カ月と経たない内に再び書店にて彼の翻訳に出逢った。どうやら絶版になっていたものが去年の受賞で復刊されたらしい。キンドルストアで検索してもみつからないので、書店の…

パトリック・モディアノ『失われた時のカフェで』(平中悠一:訳)作品社

photo by Madhya フランス文学の最尖端、パトリック・モディアノ。フランスの文学界にて異彩を放ちつづけてきた小説家の名を、ノーベル賞のニュースと共にわたしも知るようになる。そのときすぐに読んでみようとは思わなかったが、渋谷のブックファーストで…

川上弘美『水声』文藝春秋

photo by aha42 | tehaha うつくしい装丁に誘われて書籍を選ぶようになったのはいつからだろう。小説は言葉が玉座につく世界。絵画や音楽とは次元と言うか、存在の意味が少し違う。その意味に於いて、装丁を以て書籍を判断するというのは些か可笑しい。人に…

ニーチェの遺したツァラトゥストラの精神に酔ふ

約二週間くらいの期間を使ってニーチェの代表作『ツァラトゥストラはかく語りき』と格闘した。途切れ途切れに休日のひと時を使って心躍る哲学の精華たるものを味読した。ときに深く沈み込むように、ときに涙を湛えて、ときにこころを削りつつ、その思想を掴…