Project KALAVINKA

日常に眠っている「美」を千切り取ってゆく

「シンプルなかたち」展@森美術館

 

http://www.flickr.com/photos/21822319@N00/2806916108

photo by benessere

  

 この間に美術館へ行った時も雨だった。なぜだか雨の日には美術に誘われる。雨が嫌いな人もいるだろうが、雨はそれだけでもう一つの詩として成立することがある。森美の今回の美術展については、少し前からチェックしていた。「美はどこから来るのか」というサブタイトルに惚れてしまったのだった。なるべく週末ではないときを狙っていよいよ訪ねることができた。大した混雑もなく、気の向くままに鑑賞を楽しみながら新しい感覚にも出逢った。

 

La scala di seta: Overture

La scala di seta: Overture

 

 審美学的思索へ

 

  会場に入っていきなり、「形而上学的風景」というセクション名が飛び込んできた。こういうワードをひさしぶりに浴びるような気がして、なんだか戸惑ってしまうと共に言いようのない静かな感激を味わった。モダンな展示から原始的なものまで様々なものが全て美についての考察を鑑賞者に迫る。力学や幾何学的な美、生物に天賦された美、これでもかというほど千紫万紅な美を観ていく。一つ感じるのは、美というものは一つのイデアとして第一義的に存在し、それが何らかのかたち或いはフォルムとして具現化されてはじめて、われわれひとはそれを美しいと現実的な感覚として抱くことができるということ。

 

 美しさと形状の感性

 

 わたしたちの美に対する印象は、形に対する印象と言い換えることもできよう。ただそれは、美が形として現わされることをマクロにとらえなおした瞬間に崩れ落ちる論理にすぎない。美術館の展示というのはどうしようもないくらい視覚に王権が与えられている。そこを出れば、すぐに美はまた聴覚的にも嗅覚的にも顕現しうることを思い出す。五感を越境してなお、美は絶対的あるいは観念的にずっと奥深くに眠っている。私が今回の展示の中で最も興味をそそられたのは、ナイチンゲールハヤブサ、ハトのそれぞれの啼き声を形象化した作品。聴覚的な美を視覚的な美へと転移させようとする鋭敏な感性に敬服した。

 

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