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Project KALAVINKA

日常に眠っている「美」を千切り取ってゆく

ザンデルリンク指揮ドレスデン・フィル:ブラームス交響曲第1番@所沢ミューズアークホール

 

http://www.flickr.com/photos/74455234@N04/16680494445

photo by nemodoteles

 

 雨に変わるかそうでないか何ともいえないぐずついた空模様だった。ベートーヴェンブラームスという大層ドイツ的なプログラムを聴きに行く。どうやら私は去年の7月にもブラームスを聴いている。そのときは読響によるブラームスの1番だった。ブラームスと云うと秋のイメージがなんとなくあるが、今回のコンサートを通じて、考えようによっては灼熱の夏に向かい出すこの時期に聴くのも一興なのかもしれないと考えるように思った。   

 

   

 明瞭なるハーモニー

 

 ドイツには各地に楽都があるが、中でもドレスデンという土地はひときわ美しいハーモニーを脈々と継承している。いぶし銀のサウンドを持つシュターツカペレ・ドレスデンはこの地のみならず世界的にも評価が高い。ベルリンのような国際都市とは違い、いい意味で古さに磨きをかけている。ザンデルリンクが主席を務めるドレスデン・フィルはさてどのような楽団なのか、ずっと気になっていた。コンサートは、ベートーヴェンの7番で幕を開ける。聴き易いフレーズに溢れる人気の交響曲。想像以上にクリアなサウンド。弦は細く、総じて綺麗だった。ザンデルリンクの指揮は主観を極度に挟み込むことがなく、聴いていて感じるのはオーケストラに対する印象よりも作曲家であるベートーヴェンに対するものばかりだった。最終楽章では、あの心躍る展開のすばらしさに溺れるような心地さえした。

 

 

 懐かしのブラームス

 

 後半のブラームス1番は、ダークな空気感に覆われている。冒頭のフレーズが明るすぎると聴いていてすぐに萎えてしまうこともあるが、ザンデルリンクドレスデン・フィルのそれは、程よく暗く、かといって暗鬱になりすぎることもなく、絶妙な美しさを湛えていた。ただ、前半のベートーヴェンがかなり明度の高いものだったので、序盤の印象の違いにはいくらか驚いた。前半は、積極的に言って戯れるような軽快ささえあったが、後半は、ぐっと厳つい表情を浮かべながら聴いてしまうような迫力があった。ベートーヴェンはどこか踊りたくなるが、ブラームスロダンの彫像のようになって聴いていた。生真面目ということもなく、内奥に迫る情熱がたしかにあり、じっとしているにも関わらず前半よりもずっと精神的に汗ばんでいた。そういう真剣な、とても愛くるしく懐かしい解釈のブラームス1番だった。

 

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